親ボランティアで気づいた「令和の学校」
先日、兄の通う小学校で、新1年生の給食配膳をお手伝いする「生活補助ボランティア」に参加してきました。
正直なところ、「子どもが食べている給食をちょっと見てみたい」「去年は長男がお世話になったと思うから、今年はその恩返しを」という軽い気持ちで参加したのですが、実際に現場に入ってみると、親の目線ではなかなか知り得ない、“令和の小学校事情”がたくさん見えてきたのです。
給食配膳と役割分担
新1年生はまだ新生活が始まったばかりで、小学校生活というものになれていない。その中でも給食の配膳などは特に人手が必要ということで、保護者が1クラス 2名 ほど入って給食配膳の補助を手伝うというものになります。
親の役割は主に、おかずを取り分けること。たとえば、ナムルや切り干し大根など、1人分がどれぐらいの分量なのか子供が判断してお皿にもりつけるのが難しいメニューを担当します。
一方で、オレンジやバナナなど「1人に1個」と量が明確なものは、子どもたち自身が配膳します。
親がよそったおかずの入ったお皿をもうお当番さんとよばれる子供が受け取り、「はいどうぞ」と声をかけながら、お盆を持った子どもたちに手渡す──そんな流れで、配膳が進んでいきます。
給食の配膳は廊下で
印象的だったのは、「給食の配膳を廊下で行っていた」ことです。
私が小学校の頃は自分の机があり、前方に黒板があり、背中側の方にロッカーがありました。 その机と ロッカーの間に、休み間にはちょっとした鬼ごっこができるくらい、結構ゆとりがありました。
なのでそこに給食のごはんやおかずやスープの配膳ワゴンがおかれて、給食の配膳も教室内でおこなっていましたが、 現在の小学校その机とそのロッカーの間の空間っていうところがあまりないのです。
そのため長男の小学校の場合は配膳ワゴンを廊下に持ってきて、
子供たちは廊下に出てきておかずをもらっていくスタイルになります。
教室に対して子供たちの数が多いっていうところだったり、
小学校全体としても 教室の広さを十分に確保できないっていうところが原因なのかなと思い、令和の小学校を垣間見れるようなきがしました。
令和の学校の「物理的な変化」と「空気感」
親も実際に給食を食べられますが、そこで気づいたところが2つありました。
1.給食の「量」の変化
まず、給食の量がとても少ないことに驚きました。
この日のメニューは、中華丼、野菜ナムル、オレンジ、牛乳のみ。
私が子どもの頃は、もう1品副菜があったような記憶があります。
さらに配膳では、子どもたち自身が「普通」か「少なめ」かを申告します。
先生が教えてくれた「普通盛り」の基準も、箸で2口ほどの量。少なめなら、ほとんど一口分しかありません。
私が担当したナムルは、特に人気がなく、「少なめで」と申告する子が多かったため、最終的に大量に余りました。
でも、どんなおかずでも「おかわりしたい!」という子が必ず出てきます。
最初は全員にたっぷり配るのではなく、少なめに配膳して、欲しい子に追加で渡す──
平成の小学校のように、最初から全員同じ量を盛ってしまうと 人気のないおかずは残ってしまう。最初は少なく配膳し、欲しい人には最後に渡す。
これは食品ロス削減の観点からも合理的だと感じ、新しい発見になりました。
2.給食時間の「空気感」の変化
もうひとつは、給食時間そのものの空気感の違いです。私が小学生だった頃は、机をくっつけて6人くらいのグループを作り、食事をしながら自然と雑談が生まれる時間がありました。
たまに先生が一緒に食べると「ラッキー」と感じたものです。
でも今は違います。机はくっつけず、子どもたちは基本的に前を向いたまま。雑談をしながら食べる雰囲気もほとんどありません。
コロナ禍を経た感染症対策の名残なのかもしれませんが、
「食事を楽しむ」「コミュニケーションを深める」という時間が、学校給食の中から失われつつあるのだと感じました。
この方針がだめというわけではなく、このあたりは親が意識的に「友達を一緒に食べて話す」機会をつくっていく必要があるのかもしれません。
親が「学校に入る」ことで見えるもの
こうして親として学校に入る機会は、やはりとても貴重です。
子どもたちが日々過ごしている現場には、通知表や連絡帳だけでは伝わらないたくさんの気づきがあります。
給食の配膳ひとつとっても、そこには、子どもたちの表情、声のトーン、教室に満ちる独特のざわめき──
今の時代の子どもたちの「当たり前」が、確かに存在していました。
大人になると、自分が通ってきた学校生活を「普通」と思いがちです。
けれど、学校も、子どもたちも、時代とともに確実に変わっている。
その変化の中で、子どもたちは静かに、でもたくましく成長しているのだと、少し誇らしい気持ちになりました。
そして同時に、こうした時代の影響を一番受けるのは、まだ社会的に弱い立場にある子どもたちなのだとも感じました。
学校での体験が、彼らにどんな影響を与えるのか。
どんな環境を選び、どんな支え方をするのか──
これからも親として、柔軟に選び、考え続けながら育児をしていきたいと、改めて思います。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
どなたかの参考になれば、嬉しいです。
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